怪談一覧
12編の怪談
京の都、妖の声
JP 日本語 Kyoto
まあ、そういう話だと思って聞いてください。 京都に、加奈さんという女の人がいたそうです。二十代の後半で、烏丸のあたりの会社に勤めていた。帰り道にいつも鴨川沿いを歩くのが習慣だったらしい。夜の川沿いってのは、昼間とは空気が違いますよね。川の匂いがして、柳がさわさわと揺れて、なんとな…
札幌の森の囁き
JP 日本語 Sapporo
札幌の郊外に、ちょっと奥まった森があるそうです。名前は言わないでおきますが、地元の人間は皆、そこを知っている。近づかない理由も、なんとなく、皆知っている。 何年か前の秋の話です。 美咲さんという女子大生が、友人四、五人と連れ立って、その森へ入ったと言います。肝試しというほど本気で…
道頓堀の影
JP 日本語 Osaka
まあ、誰から聞いたかっていうと、友人の友人の話でして。確かめようがないんですけれど、ちょっと妙な話なんで、そのまま聞いていただければと。 健二くん、というんですがね。大学二年生だったとか。ある秋の終わり、雨の夜のことだったそうです。 友人たちと難波で飲んで、帰り道に道頓堀の橋に差…
路地裏の影
JP 日本語 Tokyo
確かめたわけじゃないんで、そのつもりで聞いてください。 ある秋の終わり、だったそうです。十一月の頭か、その辺り。 田中さんという、どこかの会社に勤めてる方がいましてね。三十代の後半、残業続きで、もうだいぶくたびれていたんだそうです。その夜も終電ひとつ前で会社を出て、最寄り駅まで歩…
天神の夜に囁く声
JP 日本語 Fukuoka
天神、ご存知ですよね。昼間はあれだけ人が溢れている。地下街に、百貨店に、ビジネスマンも学生も。ところが夜中の二時、三時となると、あの賑わいが嘘だったみたいに静まり返る。そういう時間帯の天神を、知人の知り合い、仮に田中さんとしておきましょう、その田中さんが一人で歩いていたそうです。…
怪異図鑑
噂の主たちを一覧で。
見る福岡の影
JP 日本語 Fukuoka
確かなことは言えません。ただ……妙に具体的でして。 放生会、ご存知ですか。筥崎宮のお祭りです。毎年九月、博多の秋を開く大きな祭りで。屋台が立ち並んで、人がわんさか出て、金魚すくいの水の音だとか、焼き鳥の煙だとか、そういうものが夜の空気にまじって漂って……賑やかな、明るい祭りです。…
渋谷の肉の館
JP 日本語 Tokyo
確かめようがないんで、本当かどうかは、わたしにはわかりません。ただ、これを教えてくれた人が、やけに落ち着いた声で話すもんですから、それがかえって気持ち悪くて。 渋谷の話です。 駅から歩いて十分ほど、観光客がよく行くあのあたりから、ちょっとだけ路地に入ったところに、なんとも妙な建物…
天神の変貌
JP 日本語 Fukuoka
ええ、これはですね、福岡の話です。 聞いた話なんで、どこまで本当かはわかりませんが……天神の、地下街での話だと言います。 場所はご存知ですよね。天神地下街。博多の中心部、地上はネオンと人と喧騒で、まあ夜の十時でも十一時でも人が絶えない。その地下に、長い通路が続いている。ショーウィ…
御岳山の囁き
JP 日本語 Tokyo
確かめようにも確かめられない、そういう類の話です。 あれは数年前の、十月の末のことだったと聞いています。 都内の大学で民俗学を専攻している学生が、四人でフィールドワークに出かけたんですね。テーマは「夜泣き岩」。御岳山に、そう呼ばれている岩があるそうです。地元では昔から、夜になると…
淀川の呪われた倉庫
JP 日本語 Osaka
これはね、淀川沿いの話です。 確かな筋からではないんですが、まあ、聞いてください。 大阪に住んどる知人から聞いた話で、その人もまた誰かから聞いたっていう、そういう話です。ですから、どこまで本当のことかは、わたしにも保証できません。 淀川の、ちょうど橋から少し離れたあたり。正確な場…
雪の街に潜む影
JP 日本語 Sapporo
確かめたわけじゃありませんよ。ただ、去年の冬あたりから、札幌の地下鉄界隈でちらほら囁かれてる話でして。 由美さん、というお名前だったとか。二十代の後半で、中央区のほうに一人暮らしをしてたOLだと。まあ、どこにでもいるような、ごく普通の人だったそうです。 残業が続いていた時期だった…
福岡の呪われた塔
JP 日本語 Fukuoka
中洲を、ご存じですか。 福岡の中心、川に挟まれた夜の街です。ネオンと酔客と、料理の匂いが混ざり合って、夜の十二時を過ぎても人が途切れない。ああいう場所には、たしかに何か、熱みたいなものが溜まる気がします。 ただ、その中洲の、ちょっとだけ外れたところ。川沿いの、人通りが細くなるあた…