04 / FIELD NOTES

怪異図鑑

名前を知っても、恐怖は消えない。噂に棲む存在と場所を辿ります。

心霊マップ — 出典のある異常現象
大気光学現象
異常現象

大気光学現象

たいきこうがくげんしょう

空は嘘をつく——光が曲がるたびに、世界の輪郭が少しずつ狂っていく。

▰▱▱▱▱
影島大橋(영도대교)
心霊地 KR

影島大橋(영도대교)

영도대교 / 影島大橋

橋が天へと跳ね上がるその瞬間、離散の涙が海の上に落ちたという。

▰▱▱▱▱ 1
鵺
怪異

鵺

ぬえ

その声を聞いた者は、翌朝から原因不明の病に伏したという。

▰▰▰▱▱
ツチノコ(槌の子)
怪異

ツチノコ(槌の子)

つちのこ

転がる音がしたら、決して坂の下を見てはならない。

▰▰▰▱▱
蜃気楼
異常現象

蜃気楼

しんきろう

龍が吐いた息の中に、存在しない都市が立ち並ぶ。

▰▱▱▱▱
諏訪湖の御神渡り
異常現象

諏訪湖の御神渡り

すわこのおみわたり

大地の裂け目に満ちた水が凍るとき、神は音を立てて歩く。

▰▱▱▱▱
Kaidan · 入口

怪談小説

読み物として味わう創作怪談。

見る
大久野島
地域

大久野島

おおくのしま

兎たちが走り回る土の下に、かつて毒が眠っていた。

▰▰▱▱▱
八丈島――流人の果て、霧の底
地域

八丈島――流人の果て、霧の底

はちじょうじま

本土から287キロ、黒潮の向こうに浮かぶこの島には、帰れなかった者たちの声がまだ満ちている。

▰▰▱▱▱
雄別炭鉱廃墟
心霊地

雄別炭鉱廃墟

ゆうべつたんこうはいきょ

携帯も繋がらぬ国有林の奥、かつて数千人が息づいた町は、今や沈黙だけを産出し続けている。

▰▰▰▱▱
十和田湖の深淵に潜むもの
UMA

十和田湖の深淵に潜むもの

とわだこのしんえんにひそむもの

水深三百二十六メートルの闇は、いまだ底を見せない。

▰▰▱▱▱
芦ノ湖の九頭龍
UMA

芦ノ湖の九頭龍

あしのこのくずりゅう

湖面が凪いだ夜、水底から何かが――ではなく、何かが還ってくる、とされる。

▰▰▱▱▱
イッシー
UMA

イッシー

いっしー

神の御池と呼ばれた深淵に、6400年前の火砕流が眠っている——そしてそれだけではないと、目撃者たちは語る。

▰▰▱▱▱
クッシー(屈斜路湖の怪獣)
UMA

クッシー(屈斜路湖の怪獣)

くっしー(くっしゃろこのかいじゅう)

湖底は今も、何かが動いている。

▰▱▱▱▱
千貫森
UFO

千貫森

せんがんもり

完全な円錐を描くその稜線は、古来より旅人の目を引き——そして今なお、夜空に説明のつかない光が滑る。

▰▱▱▱▱
介良事件
UFO

介良事件

けらじけん

少年たちの掌に収まったその銀色の物体は、何度消えても、また戻ってきたとされる。

▰▱▱▱▱
甲府事件
UFO

甲府事件

こうふじけん

ブドウ畑の闇に降り立ったものは、七年後もまだそこにいたという。

▰▰▱▱▱
海割(ヘハル)――海が裂ける場所
異常現象 KR

海割(ヘハル)――海が裂ける場所

해할

水が退いたその道に、足跡がすでに刻まれていたという。

▰▰▱▱▱
トッケビ道路(도깨비도로)
異常現象 KR

トッケビ道路(도깨비도로)

도깨비도로 / Dokkaebi Road

車は確かに下り坂を向いているのに、エンジンを切ると、ゆっくりと丘の上へ登っていく。

▰▱▱▱▱
マラド(馬羅島)
地域 KR

マラド(馬羅島)

마라도

大韓民国の果てからさらに南へ下れば、地図に載らぬものたちが待ち受けている。

▰▰▱▱▱
水原華城夜話 — 城壁の下に眠る声たち
心霊地 KR

水原華城夜話 — 城壁の下に眠る声たち

수원 화성 / Suwon Hwaseong

昼はユネスコが守る世界遺産、夜は城壁の隙間から何かが息をひそめているという。

▰▰▱▱▱
ナミソム(남이섬)――ナミ将軍の島
心霊地 KR

ナミソム(남이섬)――ナミ将軍の島

나미섬 / Nami-seom

ダムが川の水を飲み込んだ日、ひとつの丘が島となり、その頂には無実の罪で斃れた将軍の石塚だけが残された。

▰▱▱▱▱
徳寿宮(덕수궁 / 德壽宮)
心霊地 KR

徳寿宮(덕수궁 / 德壽宮)

덕수궁

帝国が終わった場所で火は二度起き、名は三度変わった――それでも何かが、いまだあの庭を去らないと伝えられる。

▰▰▱▱▱
昌慶宮(창경궁)
心霊地 KR

昌慶宮(창경궁)

창경궁

花見客が去ったあとの静寂に、米びつの中から漏れる嗚咽だけが残ったという。

▰▰▱▱▱
景福宮(경복궁)
心霊地 KR

景福宮(경복궁)

경복궁

王朝の大いなる福を祈って建てられたこの宮殿は、その名が示すほどの深い闇を内に宿しているという。

▰▰▱▱▱
済州 金寧窟と万丈窟(제주 김녕굴과 만장굴)
心霊地 KR

済州 金寧窟と万丈窟(제주 김녕굴과 만장굴)

濟州 金寧窟과 萬丈窟

かつてひとつであった地下の血脈が二つに裂かれた――何がその間を塞いだのかは、いまも土の中に眠っている。

▰▰▱▱▱
正東津(정동진)
心霊地 KR

正東津(정동진)

정동진

最初に陽が触れる場所で、あるものたちはついに戻らないと言われている。

▰▰▱▱▱
ウポ湿地(우포늪)
地域 KR

ウポ湿地(우포늪)

우포늪

一億四千万年の沈黙の中で、水面はいつも静かすぎる。

▰▰▱▱▱
志鬼(지귀)
怪異 KR

志鬼(지귀)

지귀

愛が冷めなかったから、彼はいまも燃えている。

▰▰▰▱▱
餓鬼(아귀)
怪異 KR

餓鬼(아귀)

아귀 / ガキ

腹は山のごとく膨れ、喉は針一本がやっと通るほど細い――それが貪欲の代償である。

▰▰▱▱▱
業神(업)
怪異 KR

業神(업)

업신 / eopsin

あの家の蔵がいつも満ちていた理由を、誰も大黒柱の上を見上げなかったからだ。

▰▰▰▱▱
モンダルグィシン(몽달귀신)
怪異 KR

モンダルグィシン(몽달귀신)

婚礼の前夜、花婿の夢の中に見知らぬ若者が座って微笑んでいた。

▰▰▱▱▱
グスンデ(그슨대)
怪異 KR

グスンデ(그슨대)

geuseundae

見上げるほどに伸びてゆく――その頂を見た者は、二度と戻らなかった。

▰▰▰▰▱
オドゥクシニ(어둑시니)
怪異 KR

オドゥクシニ(어둑시니)

Eodugsini

見上げた瞬間、それはすでに空よりも大きくなっている。

▰▰▰▱▱
プルガサリ(불가사리)
怪異 KR

プルガサリ(불가사리)

bul-ga-sa-ri

殺すことのできぬものが腹を空かせてあなたの扉の前に立つとき、それが残すのは錆びた虚ろだけだ。

▰▰▰▰▱
八岐大蛇
怪異

八岐大蛇

やまたのおろち

八つの首は八つの飢えであり、その尾の奥には、まだ名を持たぬ何かが眠っている。

▰▰▰▰▰
玉藻前/殺生石
怪異

玉藻前/殺生石

たまものまえ/せっしょうせき

その微笑みの奥に、三千年の嘘が眠っている。

▰▰▰▰▰
崇徳院の怨霊
怪異

崇徳院の怨霊

すとくいんのおんりょう

讃岐の地で爪を噛み切り、血で呪詛を綴った男の念は、九百年を経てなお冷めていない。

▰▰▰▰▰
酒呑童子
怪異

酒呑童子

しゅてんどうじ

首を刎ねられてなお、その頭は噛みついた——鬼の王は、死してもなお渇いていた。

▰▰▰▰▰
大同クッのトダンシン(대동굿의 도당신)
怪異 KR

大同クッのトダンシン(대동굿의 도당신)

대동굿 / 大同굿

村の神が人の体を借りて降りてくるとき、その眼差しはもはや隣人のものではなかった。

▰▰▱▱▱
ハフェタル(하회탈)
呪物 KR

ハフェタル(하회탈)

하회탈

탈を盗んだ者は必ず血を吐いたと伝えられている。

▰▰▱▱▱
方相氏の仮面(방상시 탈)
呪物 KR

方相氏の仮面(방상시 탈)

방상시 탈

四つの目は穿たれていない——それでも、あれは見ている。

▰▰▱▱▱
処容(처용)の仮面
呪物 KR

処容(처용)の仮面

처용 / チョヨン

疫神さえも退けたその顔が、今もなお扉の上からあなたを見下ろしている。

▰▰▱▱▱
仁王山国師堂(인왕산 국사당)
心霊地 KR

仁王山国師堂(인왕산 국사당)

인왕산 국사당

山の神も巫女も知っている――この社はかつて根こそぎ引き抜かれたが、神々は根ごと付いてきた。

▰▰▱▱▱
アミドン碑石村(아미동 비석마을)
心霊地 KR

アミドン碑石村(아미동 비석마을)

아미동 비석마을

生者の家の壁の中に、死者の名が刻まれている。

▰▰▱▱▱
八公山(팔공산)
地域 KR

八公山(팔공산)

팔공산

八つの魂が山を守ると言われているが、彼らが守っているのが山なのか、山に閉じ込められた何かなのかを、誰も問おうとしない。

▰▰▱▱▱
馬耳山(마이산)
地域 KR

馬耳山(마이산)

마이산

馬の耳に似た二つの峰の間で、名が変わるたびに、山が宿すものも変わってきたという。

▰▰▱▱▱
鶏龍山(계룡산)
地域 KR

鶏龍山(계룡산)

계룡산

鶏のとさかを戴いた龍が宿る山では、山のほうが先に人を識るという。

▰▰▱▱▱
竈王神(조왕신)
怪異 KR

竈王神(조왕신)

조왕신 / ジョワンシン

夜明けに竈の上の水椀が空になっていたなら、彼女はすでにあなたの家の話を天へと送り届けた後だ。

▰▰▱▱▱
人面鳥(인면조)
怪異 KR

人面鳥(인면조)

인면조 / じんめんちょう

羽ばたきの音より先に――見覚えのある顔が、空を覆う。

▰▰▱▱▱
ヨンドゥンハルマン(영등할망)
怪異 KR

ヨンドゥンハルマン(영등할망)

Yeongdeung Halmang

旧暦二月の朔日、風が泣きはじめたなら――彼女が降りてくる合図だ。

▰▰▱▱▱ 1
ソルムンデハルマン(설문대할망)
怪異 KR

ソルムンデハルマン(설문대할망)

Seolmundae Halmang

漢拏山(ハルラサン)は彼女の枕であり、済州(チェジュ)の海は彼女の膝さえ濡らすことができなかった。

▰▰▱▱▱
相思蛇(サンサベム)
怪異 KR

相思蛇(サンサベム)

상사뱀

想いを遂げられなかった者は、死してなおその名を手放せない。

▰▰▱▱▱
三神ハルミ(삼신할미)
怪異 KR

三神ハルミ(삼신할미)

삼신할미 / 三神할미

子が生まれる瞬間、奥の間のもっとも温かな場所には、すでに誰かが先に座っている。

▰▰▱▱▱
ヤグァンギ(夜光鬼)
怪異 KR

ヤグァンギ(夜光鬼)

야광귀 / 앙괭이

大晦日の夜、戸口に置いた履物が消えていたなら――もう手遅れだ。

▰▰▱▱▱
狐の妹(여우 누이)
怪異 KR

狐の妹(여우 누이)

여우 누이 / ヨウ・ヌイ

父は娘を授かるために祈った。そして、何かがその祈りに応えた。

▰▰▰▱▱
トゥオクシニ(두억시니)
怪異 KR

トゥオクシニ(두억시니)

두억시니 (Du-eok-si-ni)

その名を口にした瞬間、闇のどこかで何かが頭をもたげる。

▰▰▰▰▱
チョスンサジャ(저승사자)
怪異 KR

チョスンサジャ(저승사자)

jeoseungsaja / jeoseungchasa

赤牌旨に汝の名が記されているなら、三度呼ばれる前に耳を塞いでも、もはや手遅れだ。

▰▰▰▰▱
智異山(지리산)
地域 KR

智異山(지리산)

지리산

愚かな者が踏み入れば賢くなると言い伝えられてきた。だが、戻らなかった者たちは、今も何も語らない。

▰▰▰▱▱
谷城郡(곡성군)
地域 KR

谷城郡(곡성군)

곡성군

慟哭の声に由来する地では、今も理由もなく涙がこぼれると言われている。

▰▰▱▱▱
銅鏡(どうきょう)——顔を記憶する鏡
呪物 KR

銅鏡(どうきょう)——顔を記憶する鏡

동경 / ドウキョウ

青銅は錆びても、一度その中に宿った顔は錆びない。

▰▰▰▱▱
口裂け女(くちさけおんな)
怪異 KR

口裂け女(くちさけおんな)

くちさけおんな / 빨간 마스크

彼女はいつも先に問いかける。どう答えようとも、結末は変わらない。

▰▰▰▰▱
強鐵(カンチョル)
怪異 KR

強鐵(カンチョル)

강철이

豊作を祈る畦道に焦げるような臭いが漂いはじめると、村の長老たちは口を閉ざし、ただ空を見上げた。

▰▰▰▱▱
イムギ(이무기・螭龍)
怪異 KR

イムギ(이무기・螭龍)

이무기 / I-mu-gi

千年を待ち続けたものが龍になれなかったとき、その怨念は川底よりも深い。

▰▰▰▰▱
将門塚
呪物

将門塚

しょうもんづか

首は京より飛んで帰った――その着地点は、いまも東京の心臓部に息づいている。

▰▰▰▱▱
コックリさん(狐狗狸さん)
呪物

コックリさん(狐狗狸さん)

こっくりさん

硬貨はひとりでに滑る――呼んだのは霊か、それとも呼んだ者自身の深部か。

▰▰▱▱▱
丑の刻参り
呪物

丑の刻参り

うしのこくまいり

御神木に五寸釘が刺さっているのを見つけても、決して引き抜いてはならない――それはまだ、七夜の途中かもしれないから。

▰▰▰▱▱
藁人形
呪物

藁人形

わらにんぎょう

それは人の形をしているが、人ではない——ただ、憎しみの器として束ねられた草の骸だ。

▰▰▱▱▱
八王子城跡
心霊地

八王子城跡

はちおうじじょうあと

城山川の水は今も赤く見える、と古老は口を閉ざす。

▰▰▰▰▱
赤い部屋
怪異

赤い部屋

あかいへや

告白は終わった——だが、あの部屋はまだ誰かを待っている。

▰▰▱▱▱
メリーさんの電話
怪異

メリーさんの電話

メリーさんのでんわ

電話口の声は、もうあなたの背後で息をしている。

▰▰▰▱▱
ひとりかくれんぼ
怪異

ひとりかくれんぼ

ひとりかくれんぼ

午前三時、浴槽の水面に浮かぶぬいぐるみは、もうお前の名を知っている。

▰▰▰▰▱
きさらぎ駅
怪異

きさらぎ駅

きさらぎえき

電車は止まらなかった――そして、知らない駅に着いた。

▰▰▰▱▱
犬神
怪異

犬神

いぬがみ

飢えた犬の怨念は、飼い主の代を超えて家に宿る。

▰▰▰▱▱
百々目鬼
怪異

百々目鬼

どどめき

腕に貼りついた銭が、やがて瞬きをはじめた。

▰▰▱▱▱
垢嘗
怪異

垢嘗

あかなめ

風呂場を磨き忘れた夜、濡れた石畳に細長い舌の跡が残っていたという。

▰▰▱▱▱
飛縁魔
怪異

飛縁魔

ひのえんま

菩薩の顔をして、男の命を静かに燃やし尽くす。

▰▰▰▰▱
濡女
怪異

濡女

ぬれおんな

海辺で赤子を差し出す女の声と、牛鬼の声は、ひとつだった。

▰▰▰▰▱
船幽霊
怪異

船幽霊

ふなゆうれい

柄杓を差し出す手は、底が抜けていなければ、あなたの船を満たす。

▰▰▰▰▱
一反木綿
怪異

一反木綿

いったんもめん

夕暮れの空を、白い布がひらりと舞う——気づいたときには、もう首に巻きついている。

▰▰▰▱▱
ぬらりひょん(滑瓢)
怪異

ぬらりひょん(滑瓢)

ぬらりひょん

名前だけが先に来る——姿は、いつも指の間からすり抜けていく。

▰▰▱▱▱